有明富士(江甫山)
(つくもさん)
標高 153 m
讃岐七富士のひとつ江甫山(有明富士)はちょっとやそっとでは読めない地名、固有名詞だ。
(つくもさん)
「有明富士」あるいは「江甫富士」の愛称で呼ばれる江甫山の標高は153mで、香川県の観光地図には江甫山と記されているが登山口の羅漢寺に立つ道標には江甫草山となっている。いずれも正しいのだろうが読みは『つくもさん』である。
普通「つくも」は「九十九」と書き、有明の浜のある湾の地名は「九十九湾」と地図にある。
春のミニ八十八ケ所巡りと五百羅漢のチラシによると「室本のすばらしい財産であるミニ八十八ケ所がみなさんのおかげで見事によみがえりました。
これは我々室本の祖先がつくったもので室本の文化と歴史であり守っていかなければいけません。今では多くの人がつくも山を訪れ八十八ケ所を巡っています。そこで室本の文化と歴史を見直す記念企画をしました。」と説明がある。
* 昔から守られてきた、つくも山の麓から中腹にかけて四国八十八ケ所の石仏がきれいに飾られていましたし、市指定文化財五百羅漢の開放や餅つき大会、甘酒やつきたてお餅を接待されていた。
* つくも山は室本の宝の山のようです。
大同3年(808)、弘法大師によって稲積大権現の鎮護の宝刹として開基された真言宗の古刹で、本尊は阿弥陀三尊である。その後羅漢堂を建立し筑紫から五百羅漢を安置して、寺号も羅漢寺に改められた。
讃岐富士は全て古代の火山台地が永い年月の風雨による浸食により形作られている。高度成長期の建設ラッシュには大量の石が必要だったので、採石の犠牲となった「つくも山」は南側が削り取られ山肌が荒々しく露出して痛々しい。小さな山なので、山全体が個人の持ち山なのだろうか。
歴史的に貴重な山であっても、村のみんなが愛した山でも個人の都合でこのような格好にされてはいかがなものだろうか。
羅漢寺の羅漢堂よこから階段を上がり墓地を過ぎると山道が始まる。
この山道はミニ八十八ケ所巡りとしてきれいに整備され村人達が良くお参りに歩かれている様子がうかがわれる。
ジグザグにつけられた道脇には程よい感覚で一番札所から順番に石仏が置かれている。
全ての石仏に赤いよだれかけが新調され、蘭などの花が供えられている。
ミニ八十八ケ所巡りは44番で折り返し下るようになっている。
山は落葉樹がほとんどで小木が多いところをみると岩盤なのでなかなか大きく育たないのであろう。
ゆっくり歩いて15分ほどで4等三角点のある山頂に着いた。
山頂は平で40m四方くらいもあるだろうか。城址と判別できるものは残っていないが、
往時のお城がどのようなものであったかが想像される。山頂には木が多くて見晴らしは無い。
山頂から西の方へ50mばかり進むと展望所がつくられている。
有明浜(琴弾浜ともいう)がすばらしい光景となって目に飛び込んだ。どうしてこのようなマダラ模様の浜ができるのかと思われる光景だ。
双眼鏡で覗くと貝殻が見つかるのだろうか子供達が浜で遊び、のどかだ。前方には浮かぶ小島、舞うトビ、鳴くカラスまた漁船のエンジン音が聞こえる。
3月も下旬となると太陽は半ば雲の中だが明るい感じのする季節だ、気温は20℃もある。
登山で汗をかいた身体にはこの微風は心地よい。
観音寺市の隣町・仁尾町つたじま荘で泊まったのだが、曇りで夕日が残念ながら見えなかった。
夕日がすばらしい街がたくさんあるなかで観音寺は特にすばらしいとのことなので有明浜で観る夕日を今度は是非観たいものだ。