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鮒田富士(尾子山)

標高 302.9m


2002年07月26日(金)

 くもり・風弱し・27℃

紀宝町の富士パート1

 三重県南牟婁郡紀宝町、人口約8千人。南は熊野川を挟み新宮市、東は熊野灘に臨みアカウミガメの産卵場所として有名。平野は少なく大部分を山林が占めている。
 この紀宝町にふるさとの富士が二つ(鮒田富士と神内富士)ある。

 鮒田富士の正式山名は尾子山(おじやま)という標高302.9mの山は鮒田地区にあり地名から「鮒田富士」の愛称で呼ばれており、山頂には4等三角点が設置されている。相野谷川(おのだにがわ)が熊野川に合流する所の鮒田水門付近から西を眺めると均整の取れた美しい鮒田富士を目にすることが出来る。

 熊野詣に使われた熊野古道の浜街道と川端街道がこの地で合わさり、熊野川を渡ると熊野三山の一つである熊野速玉神社が鎮座している。上皇や貴族らの熊野詣は本宮参拝の後、熊野川を舟で新宮へ下ったそうであるが庶民は川端街道を歩きつつ、すぐ横に有る「鮒田富士」をも目にしたことだろう。

アクセスは200km以上

 大阪から車でのアクセスは一路南下し田辺から国道311号線(中辺路)、奈良の五条町を経て国道168号線(十津川街道)、もう一つの道は奈良吉野から国道169号線で熊野市を経由するのが代表的だが、いずれも難路を覚悟しなければならない。

 朝快晴5時半自宅を車で出発、十津川に入ると雨が降り出す。台風9号が九州南部を通過したとの報であったのにこの天気は何だ。南へ行くほど大雨になる。幸い紀宝町に着いた頃には雨は止んだがまだ今にも降りそうな模様だ。

雨は止んだ

 途中、谷瀬の吊橋や熊野本宮大社などの観光をしながら食事をとりながら役場で山道をお尋ねしながらだったので、登山口着は13:00。
車は宮本オガライトさんのスクラップ置き場に止めさせていただく。またいつ降り出すかも知れないので、雨傘を片手に出発。
木下宅裏の階段を登り山道に取り付く。5分ばかり石畳を進むと石積みのみが残る廃屋、ここからは雨露に濡れたシダなどをかき分ける。

 山頂より北東に緩やかな張り出した尾根の左側山腹を登って行くように山道は付けられている。湿度100%で噴出す汗と蜘蛛の巣に悩まされながら歩く山は桧の植林帯である。ここの山だけでなく植えっぱなしで間伐も枝打ちもなされていないのが日本の現状だ。「いざ、間伐」という看板標語を目にしたのだが、この町の差し迫った状況を示しているのだろう。こんな木で埋まった富士も泣いている。

緑の苔道がつづく

 30分ほどで一つのピークに着き、汗を拭き喉をうるおす。表土が薄いのだろうか、人の歩く3尺ばかりの山道には岩が露出して、その岩には苔が一面に張りついて緑の道となっている。植林の中は薄暗くてうっとうしいのだが、ここは美しくて清清しい。

急登の木の根道

 右側に相当古い破れた鹿除け網が張られている所からはだんだん坂は急となり一面のシダ、木の根道がジグザグにつづく。赤いビニールのテープが登山口の手すりから山頂まで要所要所に巻かれているし、また割と広い道が山頂まで踏まれている。

山頂の展望

 もう全身汗まみれになり山頂に着いたのはジャスト14:00だった。4等三角点にタッチして写真を一枚とる。

 夏の里山はセミなどの鳴声でうるさいくらいだが今日は何故か静かである。セミも昼寝するのだろうか。天気は回復して青空が見える。頂きは木々に囲まれているが熊野川の河口方面だけ切り開かれ赤い熊野大橋、JR鉄橋、紀宝町や新宮市の町並みが眼下に眺められる。

 

吹く風は汗で濡れた身体に心地よい。

下山も同じ道を引き返し約30分で登山口に着いた。紀宝町役場へ無事下山のお知らせに行き、お忙しい中ご親切に登山道案内を頂いたT氏にお礼を申し上げる。

飛雪の滝キャンプ場

 町営のトイレ、炊事場やシャワー完備。
飛沫を雪に例えたすばらしい滝サイドで一泊
(使用料無料)

「いにしえに さいはてと
いわれし 熊野紀宝町
今なお富士は 健在なり」



帰り道にて、鬼ヶ城に立ち寄りました。  観光三重に詳しい

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