伊賀富士(尼ヶ岳)
標高 958m
室生火山群には、千メートル級の山々が東西に連なっている。室生赤目青山国定公園と長ったらしい名の付いた公園の中に位置しており、中心にはススキの原の美しい曽爾高原がある。 南から北に流れる4本の川があり、西から室生川、青蓮寺川、名張川と雲出川で、前3本は下流で木津川に合流し、雲出川は伊勢湾に流れる。
ここを訪れるには、近鉄大阪線の榛原、名張、伊賀神戸や青山町駅などで下車する。
「伊賀富士」と呼ばれる山は、名張川と雲出川の間にある。正式には「尼ヶ岳」といい、標高958mです。
山頂は美杉村と青山町(三重県)の境界線上にある。
ふるさとの富士にもいろいろあるが、この「伊賀富士」は山容は本物の富士に似て、抜群の美しさだ。どちらから見ても良いが、名張川を挟んだ西の倶留尊山(くろそやま)から見るのもいい。
遠望すると流麗な山容は、尼さんが網代笠を被っているように見えるところから「尼ヶ岳」と呼ばれる。伊賀盆地のなかでは一番高い山で「伊賀富士」と呼ばれている。山頂には、お地蔵さんが祭られており地元の人々は、「雨乞い地蔵」として信仰しておられるということです。
ここから流れ出る渓流には、ハコネサンショウウオが棲み、山腹からはイルカや貝の化石も多く出土しているとのことで、太古の時代は海底火山だったのだろうか。
鶴橋駅07:29発の急行に乗車すると名張駅に08:25に着いた。バスの時刻表を調べずに行ったものだから目的地へのバス便まで1時間以上待たねばならなかった。
09:40発の満員バスに乗車し、中太郎生と言う変な名の停留所で降りる。
「尼ヶ岳」の南にある「大洞山」から縦走し青山町駅へのコースが今日の予定で、このコースは東海自然歩道にもなっている。
登山の事をそっちのけで余談ですが、「真福院」山門から杉平への参道は樹齢数百年というすばらしい桜並木があり、「三多気の桜」として有名で国指定文化財「名勝」で日本の「さくら名所百選」にも選ばれている。
バス停から大洞山への分岐まで約50分、ここから雌岳まで40分の斜度40度もあろうかと思われる自然石を用いた石の階段が続く急坂が待っていた。「苦あれば楽あり」のごとく山は裏切ることなく、すばらしい展望を与えてくださる。
雄岳が最高点であるが、三角点は雌岳山頂にある。穂が出始めたススキの原が広がっており360度の展望だ。北には左正面に雄岳がデンと見え、その右奥にめざす「伊賀富士」(ここからの姿が特に立派だ)、東に倶留尊山(1,037m)が火山群の特徴ある断崖絶壁柱状節理の山肌を見せている。
丁度昼時で、役場のサイレンが12時の時報を告げていた。ここが見晴らしも良く弁当にしようと思ったが、他のグループも大勢いたので先に進む。
ここから雄岳まで25分の距離で、山頂を覆っていたクマザサはきれいに刈られていたので歩きやすい。途中1mくらいもある蛇に出会ったときは驚いた、しかも二度もである。雄岳のてっぺんは、雑木で全く展望はないが、おなかもすいたので岩に腰をおろし、「ヘビさん、早よ冬眠しな」と出てこないことを願い昼飯にする。
「尼ヶ岳」へは、2、3、4峰と峰の登り降りを繰り返し、いったん大タワまで下り、クマザサの急坂を登り返す。雄岳より1時間15分かかる。山頂はいちめん美しいクマザサで、さえぎるものがなく、振り返れば今日歩いて来た大洞山のドーム状の山が印象的である。
急な階段(丸太で整備された階段ーーこれほど嫌なものはない。登りは歩幅があわずしんどいし、下りは足がガクガクで)が延々と続いている。約1時間で上高尾のバス停に15:00に着く。
バスを待っていると「山道はどうでしたか?」と地元のおじさん達に問い掛けられる。また「自然歩道の整備の為に補助金が出てクマザサなどの刈込を私達がやっているのです」とも。
「クマザサの薮こぎをしなくて助かるが、丸太の階段はどうかな」と言いたかったが山道の整備にご苦労をおかけしている人達にそうは言えず「きれいに笹が刈り込まれて歩きやすかったです」と答える。
網代笠、山が被れば、尼ヶ岳
かたちは似たり、伊賀の富士
南の学能堂山よりの展望