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黍田富士(東山) 

標高170.4mの東山が正式名


2000年02月11日
 くもり 弱風

 「黍田富士」--この字もちょっと読みにくい。
山裾近くで雑貨屋さんのおじさんに「はただふじ」はどこに登山口がありますかとお聞きする。
「はただ・・」??と不信げ。やはり間違ったかと気付き「黍田」の字を示すと、ああ「きびたふじ」やと言われる。「はた」は「秦」で「きび」は「黍」なので少し違うことに後で気付いた。

 播磨には瀬戸内海へ流れ込む川が東から、加古川、姫路の東を流れる市川、西に夢前川、相生の東に揖保川、赤穂に清流で名高い千種川がある。

 「黍田富士」は千種川と同じく清流の揖保川最下流域である揖保川町にある。
この町を南北二つに分断するように国道2号線、JR山陽本線と山陽新幹線が並び東西に貫いているが、その新幹線のすぐ南側にひときわ美しい山容で人目を引く。

神戸神社の大鳥居と黍田富士

 標高170.4mの東山が正式名であり、このあたりの地名「黍田」から別名「黍田富士」として親しまれている。

ヤッホのこみち

 JR龍野駅を降り西側の道を南へ進み新幹線のガードをくぐるともうすぐ黍田富士の山裾で、ここを右へ10分も歩けば登山口である神部小学校に着く。  この小学校の東側が「どんぐり広場」として少年や児童達の野外活動の広場となっており、広場入り口に立派な「ヤッホのこみち案内図」が設置されている。

 兵庫県森と緑の公社が黍田富士を含む広大(69ha)な一帯を、住民が親しめるような自然公園として整備したものです。

 さてそれでは登ろうかなと歩き始めた時、熟年のご夫婦と思しき方が降りて来られた。「いかがでしたか」と伺うと、どろんこでジルジル道には苦労しましたと、ひどく汚れた靴を指差す。湿地帯があるので道が悪いのだろうと思う。

健脚向きコース

 年少の子供を連れたファミリーハイキング道を指して「ヤッホのこみち」と名付けられているあまりにも単調過ぎるコースは敬遠して、私は健脚向きコースを選んだ。広場入り口の左側から尾根をまっすぐ山頂まで登る道である。
松食い虫でどの山も松が枯れているが、この山一帯はアカマツ林で枯れは目立たない。山道はすぐ急な傾斜が始まるが、下草は必要以上にも刈り取られているし、松林の雑木も道の回りは下枝が切り払われているので明るい。
丸太で道を段段に固めることはしていないので、自然で気持ち良く歩ける。

山頂展望台

 約15分で一汗かくともう山頂に着く。山頂はなだらかな広いひろばで、丸太作りの展望台がある。
吹きつける北西風は冷たく、フリースの上着を着てしばし展望を楽しむ。  北側の眼下には東西に疾走する新幹線が手に取るように望まれるし、その北に国道2号線を超えたところに神戸神社の大鳥居がみえる。町の東端には揖保川がゆったりと蛇行しながら流れる。


 軽い昼食をすませてからの下山は「ヤッホのこみち」を行く。
いったん鞍部まで下り登り返したところが明石大橋も見えるという亀岩展望台であるが、先に聞いていたとおりジルジル道なので、止めにした。湿地帯に花の咲く頃であれば歩いてみたいものだが。
ヤッホのこみちの方はゆるやかな坂道を丸太でこしらえた階段道が続く。
 小鳥のさえずりも、虫の音もしない冬枯れの道を誰にも会わず山を独占してしまった。

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