淡路富士(先山)
淡路島は明石海峡大橋で本州とつながった。先に開通していた鳴門大橋と接続され神戸徳島間は高速バスで2時間で走行できるようになり、淡路島は阪神より至近距離となった。
だがこの高速ラインは常にガラガラ状態である。このような大プロジェクトで膨大な借金による建設したつけは国の財政破綻の一因ともなっている。
淡路島にも沢山の山々があるが、中でも「先山」は諭鶴羽山(608m)、柏原山(569m)と共に淡路三山と言われている。
「淡路富士」こと「先山」は標高448mの独立峰で、洲本の中心部から眺める姿が富士形をして特にすばらしい。(おすすめの展望所は三熊山頂にある洲本城からの洲本八景の①)
山頂へは上内膳(裏参道)か下内膳(表参道)の登山口から山道を登るが、車道も付いており車で頂上まで行ける。
山頂には千光寺があり両参道には18丁に区切られた丁石がいくつか現存している。
洲本ICから5分で先山口バス停に着く。高架下に駐車し、登る準備を整え(08:30)出発する。
高架をくぐり、ゆるい傾斜のセメント道を行く。
村の家がポツンポツンとあり小さな祠などがある。特に熱心な信仰心がある訳でないがなぜか手を合わせる。
各家には番犬がいて私達に向かって吠える。私達が犬を嫌いなのが判るのだろう、決まって吠えられる。
セメント道が三つ又になった山道になる所で犬が眼前に飛び出して来たので身構える。首輪を付けた猟犬と判り走り去るのを見送った。後から銃を肩にかけて中年の男がやってきた。
山頂への道は直進だと思うが念のため伺うと「さあ、??」と要領を得ない。
猟犬を連れ、銃を持っている人がこんな里山の道を知らないなんて「獲物を追っていて迷子になるんちゃうか」等と話し合いながら、ここを直進する。
4丁石に(08:35)着、常緑の木々が展望をふさいでいる。晴れて気温以上に暖かく早春のようで、上着を一枚脱ぎ噴出す汗を拭いながら、しばらくお茶休憩。
ゆっくりゆっくりと行き交う人もない静かな道を歩くと、大石に弘法大師石像と10丁石に(09:15)着く。
12丁石、常緑樹の巨木(目通5m)、を過ぎた地点で2度目の休憩(09:30)を取り、岩戸神社の鳥居を経て16丁石で表参道に(09:45)合流する。
東の茶店(閉店中)を経て18丁石の立つ山頂に(09:55)到着した。
山上の千光寺は車で来た参拝客でにぎわっていた。舞台より南方を眺めると淡路三山に洲本の市街は絶景である。
あめつちの開きはじまる山なれば、
大慈大悲の月ぞさやけき
千光寺は天地開闢の初め、イザナギ・イザナミの二柱大神大八州(日本国)を創りし時、第一に成りいでし山なるを以って、先山と号し、日本最初峰と称す。
播州の深山にいた大猪が狩人に射られ海を渡りて当山に登る。狩人が追って来たところ、洞の中に千手千眼観世音菩薩が現出したまい、矢はその御胸に立っていたのを見て、懺悔発心し、ときの帝醍醐天皇に奏聞し、ご本尊を安置し奉りぬ。
海抜1千5百尺の淡路富士の絶嶺に、7間四面の本堂を初め、護摩堂、六角堂、三重宝塔、鐘楼堂、大師堂、庫裡、など美を極め淡路信仰界の中心霊地と略縁起に記されている。
参拝をすませ(10:30)西の茶店で名物の「素朴な手作りようかん」(500円)をおみやげに買い表参道を下る。
道幅は広くなだらかでお年寄りでも大丈夫。途中孫娘と登ってくるおばさん達と、重そうなザックで大汗をかいて登る中年男に会ったきりで登山者は少ない。しばらく続くコンクリートの階段を過ぎたところの分岐で右に取り雑木で視界を閉ざされた山から裾野の段段畑の道を行くと天気は良いし、暖かいし、気分は上々。
空腹を覚え、千枚田にマットを敷き、おにぎりとアツアツの豚汁をいただく。落ち葉の下でひたすらに春を待つ7星てんとう虫も這い出してきた。
至福という言葉があるが、このような満足感なのだろうか。
下内膳まで坂を下り、アスファルト道を車まで歩くのを避けてショートカットした段段畑のあぜ道をアップダウンに左右曲がりくねった小道をうろうろしながら歩いた。
この山はうろうろしなくても良いと考えていたのに、又してもうろついてしまった。
マイカーで山頂までドライブしました。