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元富士(奥津山)

標高322.8m


2001年08月19日
 快晴・気温34℃ 微風

長明寺の石段

 盛夏を過ぎた8月下旬、近江の富士を訪ねた。

 空は晴れ渡り青空。白い積乱雲はまだ湧き出したばかりで低く山の峰あたりに浮かんでいる。名神を大津で下り湖周道を北上し右に秀麗な近江富士を左に琵琶湖を見ながら走ると琵琶湖大橋に到る。
信号が少なく車もまばらな湖周道はのんびりドライブには良い道だ。なおも進むと近江八幡に入る。

 野洲川、日野川を渡ると正面に長命寺山が現われる。長命寺大橋を右折し県道26号線に入る。正面に見間違えることのない富士が現われる。元富士のある島の里は富士の山懐に抱かれており西の湖岸に位置し静かな山村である。

近江與地志略によると

 [元富士]奥島の北にあり、施行山の向かいなり。高さ村より大概一町半許、総じて木石なし。頂上より二三間下り、大石磐石五六畳々として其上に古松二本あり。土俗此石ある処を権現谷といふ。富士権現影向の地とす。或いは云ふ、此山先涌出して然して後駿河国富士山いづ故に之を元富士といひ浅間山ともいひ云々と。
(山麓の奥津島神社にはいわれについての言い伝えがある)

奥津島神社

 「元富士」の正式名は"奥津山"といい、標高322.8mの美しい三角錐の山である。

皆さん人懐っこい

 道脇に車を止め、小道に座って枝豆をもいでいるおばさんに元富士を指差して尋ねる。
「あの山に登りに来ました。どこに道が有りますか」「そこをまっすぐ行って一番奥にある家の門の左に道が有る、半時間くらいで登れる」と教えてくれた。
「車をどこか置けますか」と言うと「うちの家の前に置いときと」指差すので好意をお受けする。
車を庭先に止め半ズボンでザックを肩に歩き出すと、モンシロチョウが飛び回っているキャベツの苗を手入れしているおばさんに合ったので会釈すると里の人は皆さん人懐っこい。

 「蝶々が困る、幼虫が葉を食べてしまう」「ほんまやなあ」と返事をする。
「権現さんに登るのかい」「道はどうですか」と聞くと「毎年4月3日が例祭で山道をきれいにするが下草が伸びているだろう」私「長ズボンに着替えます」。
「どこから来たんか」 「大阪から」「そうかい、子供はいるのか」「はい」そこへおばさんのつれあいが軽トラで通りかかる。
私が「あの山は元富士というんですか」
「...いや権現山いうけど,,,,,富士とは,,,,知らんな」
「頂上まで道ありますか」と問うと「頂上より少し下に大きな岩があってお社がある、そこから道は無い、大変やで、登っても迷うて下りれんかも判らん」と返ってきた。

 という具合で(10:55)権現参道を出発した。


 左の沢はほとんど涸れている。道はすぐうっそうとした竹林に入る。
竹の穂先が風で揺れ、カラカラと音がするとなんだか気味が悪い。なだらかな竹林を通過すると松混じりの潅木林となる。5分くらいで右手に500年の巨木杉に着く。
この付近からだんだんと坂は険しくなる。ミンミン蝉が鳴いているがどこにいるのか見つからない。
 実を付けた"いわかがみ"などがあるものの花の時期はずれで、何となく殺風景な山道がジグザグに続く。
登るほどに急登となるも自然石で所々段が付けられており、古くから権現参道としての雰囲気がある。

一間社がひっそりと

(11:23)斜面に5メートルほどもある大岩に寄り添って小さな一間社がひっそりと木々で薄暗い処に建っている。先ほど村人からお聞きした権現さんである。どんなお社だろうと山頂に長年月にわたり維持するのは並大抵ではないと思う。
 お社のところは木の中だが右手へ少し回り込むとここにも大岩があり、頂は平でこの上に立つと展望が開ける。右に長命寺山と琵琶湖、その奥に比良南部の山々、眼下に黄色く色づき始めた稲穂、正面に八幡山、三上山、その奥に湖南アルプス、左手はるか遠くに鈴鹿の山々が連なる。

 (11:35)さて流れ落ちる汗も美しい眺望に見ほれている間に乾いたので、ここまで登ったからには頂上まで行かなければとお社まで戻り斜面を見上げる。
どう見てもここから先は最近人が歩いた形跡は無い。仕方なく木々を掻き分け登る。
 岩が所々に露出して潅木林は続く。與地志略に書かれているように大岩の上に三又になった松が生えている。その横上の岩にも松が見えるが、勿論古い文献の時代の松とは同じものでは無いだろう。
岩と木々を避けて登ると山頂に着く(11:50)。

 頂きは潅木の林の中だった。
ほとんど回りの景色は見えないのだが、北の琵琶湖と南側西の湖の水面が光っている。
下り始めてすぐ"アレッどこを通って登ってきたんやろ"とルートが判らなくなり、あっち行ったり戻ったりウロウロしてしまう。
 村のおじさんが"道が判らなくなるかも"と言ったことが事実となってしまった。
こんなことになるやもしれないと登るときに木の枝を折ることで目印を付けておいたのが役にたった。

 展望の良い岩の上で昼食とする。
幸い低い山だが気温は29℃までしか上がらず日差しの中でもゆったりと休息できた。

 (12:40)下山開始。322mの山であるが上部は意外と急な登りであった。

観光

近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区 【商家町】が指定されている。

となり町の五個荘町にも五個荘町金堂伝統的建造物群保存地区 【農村集落】がある。

お勧めのお宿 休暇村近江八幡

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