800

Home日本の富士関西の富士伊勢の富士|このページ

菰 野 富 士

標高 369m


1996年10月12日(土)

 「菰野」の文字を見てすぐに「こもの」と読める人は少ないのではないだろうか。
私のワープロは変換3回目で出た。

 各地にあるご当地の富士の中でもこの富士は眺める場所が少ないみたいだ。
近鉄湯ノ山温泉駅でタクシーの運転手に「菰野富士」の写真を撮りたいのでいい場所へ案内してほしいと乗ったのだが、あちこち廻ってもいいアングルが無い。
では登ろうと「熊牧場」でタクシーを下りた。

 ここからハイキングコースが整備されている。
低気圧接近で雨模様である中をしばらく登り詰めたら三角点の様な石柱があり、頂上にしては早すぎるので見ると「陸軍用地」などと書いてある。どんどんいくつかのコブを越えて展望の良い頂上(369m)に約20分で着いた。
展望派の私にとってすばらしい景色のプレセントを頂いた。
 北には、武平峠をはさんで右に御在所岳と左に鎌ケ岳の雄姿が望め、明日はあの稜線の奥にでんと構える雨乞岳に登るんだと自分に言い聞かせる。
南には四日市方面が見える筈だが今日は霞んで見えない。

朝明渓谷(あさけけいこく)

 今晩の泊まる朝明渓谷の伊勢谷小屋には、近鉄で菰野駅まで引き返しバスで行く方法があるが時間もたっぷりあったので東海自然歩道を風越峠越えで歩く。
 途中から雨が降り出し、峠手前で土砂降りとなった。けっこうしんどい峠越えで6km、伊勢谷小屋へ濡れ鼠で着く。
私は鈴鹿の山は登った事が無く誰かについて登りたいなと思っていた時、「鈴鹿セブンマウンテン」と言う朝日新聞と近鉄主催の鈴鹿の7つの名峰を1年で登る登山大会を見つけた。
もう30年も続いているそうです。10月が雨乞岳だったので友人と早速申し込み参加したのが、この登山です。

大雨の最中のミ-ティング

 昼頃降り出した雨は益々ひどくなり小屋のトタン屋根をたたく。
持参の夕弁当を食べた後「中高年の登山の楽しみ方」などの講義(山岳指導員)があり、明日のル-トの説明があった。
こんな大雨なのでタケ谷は増水していると思うので決行できるかどうか解らないので結論は早朝決めたいとのことだった。
私は17km9時間の行程の厳しさを感じ、はたして自分は歩けるのか少々不安を抱く。
でもここで引き返す訳にはいかない。なんとかなるさ!


 

10月13日(日)
 雨乞岳に登る

 4時頃からゴソゴソ始めるので寝ていられないが、5時朝食で6時出発なので眠い眼をこすりながら起き出す。
真っ暗だが雨は降っていない。
 決行だ!!。参加者150人が3班に別れ、小屋の裏手の道を進む。歩きはじめは、最後尾についてゆっくり足を慣らす。私はペースをつかむのが遅いのだ。根の平峠への道は大した坂でないし、笹はきれいに刈られている。7時15分に着いた。
振り返ると東の空は、今まさに太陽が登りつつある。
空は雲が切れだし晴れるぞ、との予感。案の定、昨夜の雨がウソのような上天気になった。

 タケ谷のダラダラの登りをしばらく行くとコクイ谷の分岐に出る。
この少し行った谷川は増水で渡れない。みんなで小さい岩を投げ込み15分くらいで飛び石をつくり渡る。
9時、鉱山跡に着く。開かれた平地やくずれた石垣が当時の面影を残している。
 赤、黄色の紅葉がキレイだ。杉峠の一本杉は巨木だが上部が枯れそうな状態で痛々しい。
この峠からの登りはものすごい急坂で、おまけに背丈以上もある笹でびっしり覆われており、笹のトンネルをかきわけ登らなければならない。
 わずかの笹の切れ目で山頂が望めたので写真を撮ろうしていて滑り、右腕に10cm擦り傷をしてしまった。
笹で目を突かないようにとサングラスは準備していて、これは役にたった。
とにかく苦労して約30分で雨乞岳(1238m)に立つ。でも立ち木で展望は、ほとんどダメ。
 15分くらい笹の稜線を行くと広々とした東雨乞岳の頂上に着く。
展望は360度、鈴鹿山脈の中央最奥(鈴鹿第二の高峰)である。

 正面に御在所岳が聳え、左へ国見岳次に崩壊したガレの見える釈迦ガ岳、その向こうに竜ガ岳や藤原岳がかすむ。

残念ながら右の鎌ガ岳は下から湧きあがるガスでかすかにしか見えなかった。
おにぎり弁当を食べ、展望を脳裏に焼き付けた。

 下山は武平峠をめざす。これ又大変なクマザサのトンネルで登りと同じ様な急坂だ。
7人山のコルを通り、クラ谷を右へ左へと小滝をかけた渓流を渡りながら進む。
 ガレ場を通る道は、狭くまた崩壊しており小枝につかまり、木の根っこを足場に震えながら歩く。
もうそれこそ落ちたら命も危ういと思う。後で聞いたのだが、3人ほど、こけて滑り落ちたが幸い木に引っ掛かって命拾いしたと言っていた。

沢谷は迷子に注意

 一難去って一難ありで、次の沢谷は登っているのか下っているのか解らないくらい、山や谷が入り組んでおり、迷い易い所だ。
苦あれば楽あり、沢谷を抜ければ沢谷峠に出る。すばらしい眺めだ。
山頂で見えなかった鎌ガ岳の鋭い花崗岩の露岩をあらわにした山容が目の前に飛び込んできた。
カメラを取り出しシャッタ-を切る。
ススキの群生している道を30分下ると鈴鹿スカイラインの武平峠トンネルの西出口に出た。山頂から2時間の行程だった。

 トンネルを東へ通り抜け、スカイラインに添った道を延々と1時間30分歩いて湯の山温泉に3時に着いた。予定どうり、9時間のペ-スで歩けたことになる。今日見たセブンマウンテンに機を見て挑戦したい

ページの先頭へ戻る


Home日本の富士関西の富士伊勢の富士|このページ

800