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千種富士(笛石山)

標高 894.5m


yama

2011年05月22日 (新緑に映える千草富士)

2001年04月14日
 曇・気温16℃ 寒い風

 兵庫の清流千種川沿いの県道72号線を北上、南光町と千種町の町界付近から眺める笛石山は後山(1,342m)から東へ派生した尾根東端の峰であり容姿は全く平凡である。ところがなおも北上し千種町役場より少し北の河呂(こうろ)まで来ると姿は一変する。

 川の両側には田が広がり、いま正に満開の桜を前景とした三角の美しい富士に変身する。標高894.6mの笛石山は容姿が富士に似て美しいが故に千種富士と呼ばれている。

 千種発電所入口の広場に車を止める。今日も道の無い厳しい山登りなのでザックの中身は雨着、水筒と昼食や救急セットのみに止め軽くした。本によると昔河呂から登られていたとの事であるが現在はもう廃道となっている。役場の人に尋ねても15年ほど前に発電所の北の尾根を登ったきりだと言う。

 (09:00)橋を渡り発電所横から導水鉄管上部へ補修の為に付けられたジグザグ道を登る。そこからこの鉄管へ水を引く為のほぼ水平の水路上を歩きながら山上への取り付き点を探しながら進む。オワンを伏せたような尾根なので明瞭な谷筋や尖った尾根が無いので10分くらいで水路の終点に着くもどこから取り付けばよいか判らない。仕方なくエエイとばかり杉植林の中へ突っ込むことにした。

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 (09:15)植林後2-30年位だろうか手入れの不充分なため暗く不気味な急傾斜の坂を転ばないように慎重に進む。右へ斜上、左へトラバースまた右へと登り易く見えるところを探しながら登る。
それにしてもこんな急斜面によくも植林したものと感心する。大岩が現われれば左右どちらかに回り込み、ガレ場はかまわず直登した。左に雑木が見えそこを登ってみるも杉の中より急な坂。急斜面だから植林できないのだと後で気が付く。

 はたしてこのルートで良いのだろうかと思案しながら、また杉のなかをジグザグによじ登る。2時間も登った頃、前方上部に明るい空が見えて来て尾根上に出るのは近いと察した友人は「もうジグザグは止め」とストックをたよりに直登すると少し明らかな尾根に飛び出した。先ほどまでの不安感もどこえやら、これで登頂できると大はしゃぎ、10分くらいの休憩をとる。(600m地点)

 (11:15)割に明瞭な東尾根に出たので、ここからは尾根を見失なわないように進もう。少し緩やかになった坂を登ると左側はカヤ、右側は若いヒノキの人工林となる。ヒノキの中は枝が下部まであり全く通れないのでカヤとヒノキの隙間を歩く。
 このカヤは麓で写真を撮ったとき頂上直下の薄茶色に見えた所だ、頂上は近いぞと勇気も湧いてくる。ここは展望も良く千種川沿いの家並みも手に取るようだ。「山笑う」というが木々の新芽は萌え出し、ここのカヤの中に馬酔木としては大木で満開の白い花は印象的だった。春先、山で白い花といえばコブシかタムシバ、この山はほとんど全面に植林されているのでお目にかかれないのだが2本ほど目にとまり樹下に白い花びらを散らしていた。野鳥も少ないが、鹿か猪のフンはやたらと多い。

山頂にプレートを取付ける

 (12:20)取り付きの悲壮感を投げ捨て、展望を楽しみつつ汗をかかない程度のゆったり歩きで三等三角点のある山頂に着いた。苦労した後の登頂を喜び3人で握手をかわす。山頂には登頂跡は無いだろうとの予想に反し立木に小さなプラ板に3人の名と住所まで書かれていた。私達も負けじと山名を記したプレートを木に取り付ける。昨夜友人が裏に名前までペインティングしたものだ。

 山頂は細い稜線上の一点で木があり展望は宜しくないものの、葉を落とした木々の間から南に日名倉山(美作富士)、北に三室山、西に植松山などが遠望される。風が強く気温も低めでポカポカ陽気とはいかなかったが風を避けた斜面に腰を下ろし、しばし持参の弁当と歓談の時を過ごす。(この時は下山も苦労することなど思いもよらなかった)

 (13:25)この山に再度来ることは無いかも知れない思いを胸に下山開始。
下りは登った道を進んだが740m地点で方角を見失う。ポイント毎に確認しながら進んだのに右の支尾根に迷い込んだのだ。最後に見覚えのあるところまでまで戻り左へ下るとはっきりした尾根が見つかり安心する。その後スイスイと朝方尾根に飛び出した地点へ着く。

 直進がより明瞭な尾根に見えたので朝登ってきた方へ下らず直進したが、すぐ尾根は消え急な角度の斜面となり朝と同じ状況だ。もうどのルートを取ろうかと迷っても仕方ない、杉を植えた人がいるのだから下れないはずがないだろうと、急な杉の中に足場を選んで下降する。Y氏は痛み出した太ももがつって歩けない模様。私が付けた目印をゆっくり下るから先に行ってと云われるが、彼の歩調に合わせ慎重に進む。

 (15:40)小雨が降り始めた頃、水平水路の途中へ出る。傘をさし、ヨレヨレになりながらも駐車場に事故無く下山でき、山に不慣れな友も含めて感動の登山だったと思う。
もうこんな山はコリゴリが実感かもしれない。

 

註: 近年、板馬見渓谷の不動明王登山口からの道が切り開かれ、このページに紹介したような苦しい登山の必要が無くなりました。
また後山からの尾根縦走もよく踏まれているようです。

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参考地図

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