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越前富士(日野山)

2万5千分1地形図名:武生(南東)
二等三角点


1997年07月21日
 快晴 気温30度 そよ風

 自分の名字と同じ名前の山が在るだろうとは思っていたが、やはり『日野山』(標高795m)はあったのです。しかも「日野山」が「越前富士」とは、驚きました。
北陸自動車道の今庄ICを過ぎ日野川に沿って走ると正面右手に端正な三角形をした「日野山」が目に飛び込む。
日野トンネルを抜け武生側から見てもその姿は変わらず美しい。日野山はまた、「御嶽山」「日永山」とも呼ばれている。

紫式部ゆかりの地

 奈良時代から越前国府の象徴として知られた名山であり、平安の世(962年)武生の国司となった父である藤原為時とともにこの地に来た紫式部は、雪に覆われた「日野山」を見て歌に詠んでいる。

「ここにかく日野の杉むら埋む雪
をしおの松にけふやまかえる」
紫式部

                   

1

北陸道 今庄SAより

 式部が住んでいた館跡は、紫式部公園となり平安庭園が美しい。またここは「越前富士」を眺めるには絶好の地でもある。公園の北西の角には十二単の式部の大きな像が日野山に向かって立っていた。ここでの一枚がこの写真です。

また

「あすの月 雨占わん ひなが岳」
 芭蕉

「雲はれて 仰ぐも高き 日永嶽
 みどり匂へる 春日影かな」
 松平春嶽

など詠まれている越前の名山です。

tizu

日野神社が登山口

 北陸本線王子保(をしお)駅から東へ2kmの日野山西麓にある日野神社に安全祈願をして左脇の登山口から8時20分に歩き始める。
日野山祭りは7月26日、27日に民謡踊り大会や花火があり地元の人達の楽しみとなっている。昨夜は今庄サイクリングセンターで泊まり、宿の年輩の方に「日野山に明日登るんですが道はどんなもんですか?」と話しかけると日野神社の横から登山道があると教えてくれた。
そのあとの話が面白い。

 「昔は夜半まで踊り、若者は自分の気に入った相手を見つけ連れ添って登山して、翌朝、山上でご来光を迎える。 真っ暗なので途中薮の中でコチョコチョよくしたもんだ。」と。
私が「その方が奥さんになられましたか?」と訪ねると笑っておられた。

水量豊富な沢沿いの道

 沢に沿った道は一本道で、昔からよく踏まれている。杉の植林の中を25分で「焼餅石」(クズ米に菜の干したのをまぜてつく)、吹き出す汗を拭き10分休憩。
「石の唐戸」(10mもあろうか)を過ぎ、「弁慶の三枚切り」(岩が三枚に割れている)の所に来ると展望が開け村が望める。
山頂まで林道がついており(全く舗装はされておらず、赤い表土は雨で流され痛々しい)登山道はその道をクロスしながら続く。

 5合目(標高450m)の室堂に9時10分に着く。
広場には立派なお堂を模した休憩所があり聖観音と不道明王がまつられている。谷より流れる水は切れるように冷たく顔を洗えば気持ちがよい。この付近より上はブナやナラなどの落葉樹林帯となり、ヒグラシや野鳥がさえずる。

尼ころがし

 9時40分に550m地点に着く。ここから道全面が岩で覆われた「尼ころがし」が頂上まで続く。
「昔この御山は女人禁制で女子は登山できなかった。たまたま尼僧(比丘尼)がこれに反して登山したところ、ここで神の怒りにふれてころげ落ちたのでこの名が生まれた。」と伝えられている。

 現在の男女平等の世にそぐわないことで、今はもちろん女人禁制などない。誰が言い出したのか知らないが、氷ノ山(兵庫県最高峰)にも「小豆ころがし」と言うところがあるようにまことに厳しい急な坂道で太いロープが5mくらいの長さで杭にくくられて延々とたらしてある。
私もこのロープにつかまって登る。

長命水池

 この池は頂上近くにあり、「昔、武生に蓑屋というたいへん日野山信仰の厚い人が居て神様へのお供えするお水を汲む池を掘って奉納したいと云う一念から数多の日数を費やして掘ったと云われ、この水を飲むと生命が長らえると云う。」このような説明板がある。
私もこれにあやかり一口飲んでみる。

登りに2時間10分かかる

 体中汗びっしょりになり10時30分、山頂に着く。休憩所横で友人も私も裸になり、そよ風に気分良くあたりシャツを天日に干す。



 山頂は広々としており奥の院は今まで見たどのものより立派なものである。 北は武生市、南は南条町との境界にあり展望は東の一部を除いて申し分ない。

 11時下山にかかる。
登山道は一本だけなので来た道を下る。「尼ころがし」で「おじさんころがし」になってはたまらないので敬遠して林道を歩く。
1時間30分で下りる事が出来た。

 この地は「そば」が名物なので昼は「おろしそば」大盛りをいただく。 2泊3日の北陸ドライブ紀行は、舞鶴・敦賀・福井・一乗谷と巡り、締めくくりに「日野山」で大成功でした。

「越前の シンボルの山
  日野山に 登りながめる 光る日野川」
   著者

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